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東京地方裁判所 昭和57年(特わ)699号 判決

裁判所書記官

安井博

(被告人の表示)

本籍

千葉県松戸市小金上総町一一番地の五

住居

埼玉県川口市栄町二丁目一二番二七号

ビューシャルム松本四〇五号

無職

成川實

昭和一五年八月一八日生

主文

1  被告人を懲役一年六月及び罰金五、〇〇〇万円に処する。

2  右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

3  この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、株式会社日刊投資新聞社に勤務するかたわら営利の目的をもって継続して株式の売買を行っていたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、架空名義等を用いて株式の売買を行うなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五三年分の実際総所得金額が二億三、二二〇万六、七六〇円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五四年三月一四日、東京都文京区春日一丁目四番五号所在の所轄小石川税務署において、同税務署長に対し、同五三年分の総所得金額が三二五万八、〇〇〇円でこれに対する所得税額が源泉徴収税額を控除すると一七万一、八〇〇円の還付をうけることになる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額一億五、六二一万五、〇〇〇円と右還付申告額との合計一億五、六三八万六、八〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

第二  昭和五四年分の実際総所得金額が八、〇三〇万四、三二九円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五五年三月一一日、前記小石川税務署において、同税務署長に対し、同五四年分の総所得金額が三五二万〇、九〇〇円でこれに対する所得税額が源泉徴収税額を控除すると一六万七、七三〇円の還付をうけることになる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額四、〇四七万二、〇〇〇円と右還付申告額との合計四、〇六三万九、七〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

第三  昭和五五年分の実際総所得金額が四、一二六万三、三九七円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五六年三月一四日、埼玉県川口市青木二丁目二番一七号所在の所轄川口税務署において、同税務署長に対し、同五五年分の総所得金額が二九八万二、六〇〇円でこれに対する所得税額が源泉徴収税額を控除すると七万六、〇〇〇円の還付をうけることになる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額一、一二二万六、三〇〇円と右還付申告額との合計一、一三〇万二、三〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全般につき

一  被告人の当公判廷における供述及び検察官に対する供述調書三通

一  赤羽根信男及び池田健一の検察官に対する各供述調書

判示各事実ことに過少申告の事実及び別紙(一)ないし(三)修正損益計算書の公表金額につき

一  小石川税務署長及び川口税務署長作成の各証明書

判示各事実ことに別紙(一)ないし(三)修正損益計算書中の各当期増減金額欄記載の内容につき

一  収税官吏作成のその他事業所得の振替調査書(別紙(一)ないし(三)修正損益計算書の各勘定科目中〔事業所得〕の〈1〉、〈2〉及び〔雑所得〕の〈4〉、〈5〉。以下の調査書も収税官吏の作成したもの)

一  利子所得調査書(同〔利子所得〕の〈1〉、〈2〉)

一  配当所得調査書(同〔配当所得〕の〈1〉、〈2〉)

一  株式売買益調査書(同〔雑所得〕の〈1〉)

一  現物取引売買損益調査書(同〔雑所得〕の〈1〉)

一  信用取引売買損益調査書(同〔雑所得〕の〈1〉)

一  債券売買損調査書(同〔雑所得〕の〈2〉)

一  雑費調査書(同〔雑所得〕の〈3〉)

一  株式売買回数・売買株数調査書(同〔雑所得〕の〈1〉ないし〈3〉)

判示各事実ことに別紙(四)税額計算書の配当控除金額につき

一  配当控除調査書

判示各事実ことに右税額計算書の源泉徴収税額につき

一  源泉徴収税額調査書

(争点に対する判断)

弁護人は、(一)被告人は会社勤務のかたわら長期間に亘り多数の株式を買入れて保有し、これらを多数回に亘り売却してきたものであるが、法律は、株式売買を行う者に対し、その取引内容について記帳義務を課していないのに、株式売買が一定の限度を超えて課税対象となる場合には、所得申告に際し、一貫して継続的な記帳をしていないと不可能と思われるような厳格な所得算定方法を要求しており、被告人が本件対象年度において、法定の方法により株式売買益を算定し、所得を申告しようとしても、株式所得の当初から取引内容を継続して記帳しておかない以上不可能というほかはなかったのである。したがって、このような制度的欠陥のもとで、被告人が法定の計算をすることができなかったため株式売買益を申告しなかった部分については、所得税法二三八条のほ脱犯は成立せず、むしろ同法二四一条の無申告犯が成立するにとどまるものである。(二)被告人が株式の売買を仮名又は第三者名義で行ったことは事実であるが、本件株式売買益の約九〇パーセントを占める取引は大福証券等を介して行った実名取引であり、被告人が仮名又は第三者名義で行った取引もその大部分が、経営参加を目的とした株集めを行うにあたり、いわゆる提灯買いが入るのを防止するための手段であって本件過少申告と結びつく所得秘匿行為にあたらない。(三)本件利子・配当所得のうち、利子所得については、被告人としては、少額なもので、かつ既に源泉徴収分を控除されているので申告の必要はないと考えていたものであり、また配当所得については、被告人は、これだけを申告すれば源泉徴収分が還付されることになり、かえって申しわけないと思い申告しなかったものであり、いずれも脱税の犯意を欠くから本件ほ脱額から除外すべきである、と主張する。

そこで、当裁判所は、所論にかんがみ次のとおり判断する。

(一)の主張について。

被告人が会社勤務のかたわら永年に亘り多数の株式を売買し、その中には相当長期間に亘り保有した株式を売却したものも含まれていること、株式売買益が課税対象となるのは、売買の回数及び株数において一定の限度を超える場合に限られること、及び株式の売買を行う者に対し、法は一般的に継続的な記帳義務を課していないことはいずれも所論のとおりである。

ところで、株式売買が一定の限度を超えて売買益が課税対象となる場合、所得税法施行令一一八条は、雑所得の計算上必要経費に算入される取得原価につき、当該株式を最初に取得した時から譲渡の時までの期間を基礎としていわゆる総平均法に準ずる方法により算出すべき旨定めているから、被告人のように相当長期間に亘り保有した株式を売買する者にとっては、取得した株式の価格等を継続して逐一記録しておかないと、申告時において正確な必要経費の算出に困難を来たすことが考えられる。

しかし、申告納税制度のもとでは、継続的な記帳義務を課せられないいわゆる白色申告者であっても、所得の申告に際し、株式の取得原価等を必要経費として主張しようとする以上、申告する者において、何らかの方法を講じてその金額を調査し主張すべきは当然のことであって、申告者において、記帳義務がないことを理由としてこれらの調査を怠り、正確な必要経費の計算ができなかったからといって、これを法の欠陥ないし矛盾として自己の行為を正当化することはできないことは多言を要しないのみならず、本件においては、前掲各証拠によると、被告人は昭和三八年以降株式投資関係の新聞記者として、株式売買益に対する課税制度の内容及びその変遷についての充分な知識を有していたと認められ、さらに株式取引の正確な記録をみずから逐一記録しなくても、受託証券会社の売買報告書又は顧客勘定元帳の写を保管しておくだけで株式の取得原価等を算出することは容易にできたのに、被告人はこれを怠り、一般に株式売買益を申告する者がほとんどいないことから、自己においても当初からこれを申告する意思がないまま前記報告書等を廃棄してしまったばかりか、申告のために特段の調査をしたこともないことが認められるのであり、右によれば、被告人が本件において、株式売買益を申告しなかったのは、所論のように納税の意思がありながら、法定の申告ができなかったというのではなく、所得税を免れる意思に出たものであることが明らかである。所論は独自の見解によるものであり、採用できない。

(二)の主張について。

前掲各証拠によると、本件株式売買益の大部分を占める大福証券等を介しての取引は、被告人又は家族の実名による取引であって、仮名又は第三者名義の取引が株式売買益において占める割合が少ないものであることは所論のとおりである。ところで、前掲各証拠によると、被告人は、本件当時日興証券西武支店、上光証券、和光証券、偕成証券、山二証券、福山証券、三木証券、茜証券などに多数の仮名又は第三者名義の取引口座を持ち、これらを利用して多数の株式を取引していたところ、被告人は検察官に対する供述調書において、仮名口座等を利用した理由について、(イ)勤務先に株式取引を知られたくなかったこと、(ロ)会社の経営参加を目的として長期的に株を買い集めるにあたり、提灯買いを防止するための手段であったことのほか、(ハ)株式の売買益や配当を税務署に秘匿するためでもあったと供述しているが、当公判廷においては、もっぱら(ロ)の目的によるものであって、脱税の目的に出たものではないと供述している。なるほど、前掲各証拠によれば、被告人が伊原高圧継手工業、新報国製鉄、アール・ケー・ビー毎日放送など五銘柄の株式については、仮名口座等を利用してかなり長期間に亘って継続的に買い注文を出し、相当多数の株式を買い集めている事実は認められるのであるが、その反面において、同様な方法で買い集めた楢崎産業の株式については、昭和五三年に至り、その全株を売却して売買益を取得している事実も認められるのであるから、右の五銘柄の取引について、そのすべてが売買益を意図しない純粋に経営参加を目的とする取引であったとは直ちに言い難いものであること、被告人が前記のとおり多数の証券会社に多数の仮名又は第三者名義の取引口座を持ち、これらを操って株式取引をひんぱんに行ったこと、右仮名口座等による取引中には右五銘柄以外の株式取引が相当数含まれており、被告人じしんも、当時右仮名口座等による取引の回数及び株数が被告人の全株式取引の六〇ないし七〇パーセントを占めることを認識していたことが認められること等証拠上明らかな被告人の株式取引の経緯、内容等に徴すれば、被告人が株式取引において右仮名口座等を利用した目的の中には、前記(イ)、(ロ)の目的のほかに被告人の多数の株式取引の事実を隠蔽し、税務署が被告人の売買益ないし配当等の所得の実態を把握することを困難にする意図が存したことを優に認定することができる。被告人が本件株式取引において使用した取引名義は多数にのぼるが、被告人はこれらを利用した取引による売買益について、それが実名取引であると仮名等の取引であるとを問わず、一切申告していないことも右の認定を補強するに足りる。所論の主張する本件株式売買益のうち仮名口座等による取引の占める割合が実名取引によるそれに比して少ないとの事実は、一般的に株価の推移が多分に流動的で不確定な要素に左右され易く、あらかじめ一定の売買益を想定して取引名義を選定することは殆ど不可能であるところから、被告人の行った取引の結果がたまたま所論の結果となったに過ぎないものであり、これをもって被告人の各取引当時の目的が所論のとおりであったとする根拠とすることはできないし、被告人の前記当公判廷における供述及び池田健一の検察官に対する供述調書は前認定の事実と対比して措信することができず他に右認定を左右するに足りる証拠はない。そして、右仮名口座等による株式取引から生じた株式売買益は、本件申告において所得から除外されているのであるから、右仮名口座等の利用行為は過少申告に結びつく所得秘匿行為にあたることは明らかである。所論は理由がない。

(三)の主張について。

被告人の本件ほ脱所得のうち利子所得にかかる部分は、大和銀行日本橋支店における被告人の義兄小原直吉名義の金銭信託の収益分配金であるが、被告人は検察官に対する供述調書において、これを申告しなかった理由について、被告人が右銀行から秘密の貸金庫を借りるについて、義兄の名義を借りたところから保証金代りに預けた金銭信託等も義兄の名義としていたが、右の他人名義による収益分配金であったからこれを申告しなかったと供述しており、その供述内容は、具体的であり、関係証拠と対比しても信用することができる。被告人は、当公判廷において利子所得は少額であり、かつ源泉徴収分を控除されているので申告の必要がなかったと思った旨供述しているが、右金銭信託の収益分配金については、非課税ないし分離課税の対象となるものではなく、総合課税の対象となるものであったことは証拠上明らかであり、被告人は右金銭信託をした本人としてその事実を当然知っていたものであり、かつ被告人の所得額に照らし、源泉徴収分をもって納税義務の履行が完了するはずのないことをも当然に知っていたと認められる。したがって、被告人の右供述はとうてい措信できないものであり、被告人にほ脱の犯意の存したことは明らかである。

次に、配当所得にかかる部分は、被告人の保有株式に対する受取配当金のうち、申告を要しない金額を除いた部分であり、その金額は、昭和五三年分が九一〇万円余、同五四年分が一、六三六万円余、同五五年分が二、八五九万円余にのぼっているところ、被告人は検察官に対する供述調書において、配当所得については受取配当金の二割を源泉徴収されるので、このうえさらに全額を申告する意思はなく、一部しか税理士に知らせなかった旨供述しており、被告人が前記のとおり株式売買益のすべてにつき申告する意思が全くなかった本件においては右供述は信用することができる。被告人は当公判廷において所論に沿う供述をしているが、前認定の本件の経緯等に徴すれば、被告人の全所得額に照らし、受取配当金の源泉徴収分をもって配当所得に関する納税義務の履行を完了したとはいえず、被告人も配当所得のみを申告しても源泉徴収分の還付を受け得ないことになることを知っていたことは明らかである。しかも、本件配当所得については、昭和五三年分はともかくとして同五四年、五五年分については、配当所得のみで計算しても、源泉徴収分を上まわる多額の納税義務の存在が明らかであるが、被告人はこれらをほとんど申告していないのであり、同五三年分についてだけ源泉徴収分で納税義務を履行していると認識していたとはとうてい考えられないこと、また被告人は一方において多額の株式売買益を秘匿しているのであるから、配当所得に関し納税義務を履行する意思があったとも考えられないことに照らして被告人の右供述はとうてい措信できないものであり、被告人にほ脱の犯意の存したことは明らかである。所論はいずれも理由がない。

(法令の適用)

一  罰条

判示各所為につき、行為時において昭和五六年法律第五四号による改正前の所得税法二三八条一、二項、裁判時において改正後の所得税法二三八条一、二項(刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑による)

二  刑種の選択

いずれも懲役刑及び罰金刑の併科

三  併合罪の処理

刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に加重)、罰金刑につき同法四八条二項

四  労役場留置

刑法一八条

五  刑の執行猶予

懲役刑につき、刑法二五条一項

(量刑の理由)

本件は、証券取引専門紙の記者をしながら、種々の方法で情報を収集して大量の株式取引を行い、莫大な資産を蓄積してきた被告人が、昭和五三年から昭和五五年にかけて株式売買による所得の全部を秘匿し、あるいは配当所得の全部又は大半を除外するなどした結果、総額二億八〇〇万円余に上る所得税を免れたという事案であってほ脱額が高額であり、正規の所得税額に対するほ脱の割合は各年分とも一〇〇パーセントであって、源泉徴収税の還付を受けることになる旨の申告までしているものであり、被告人の納税に対する態度は厳しく非難されて然るべきである。

ところで、本件ほ脱所得のうち約八五パーセントが株式売買による所得であるが、弁護人は、右株式売買による所得を除外して脱税した動機に関し、右所得を生じた銘柄の株式中には十数年前から保有していたものがあり、必要経費となる株式取得原価を算出するための資料がすでになくなっていたため、所得額を計算できず申告できなかった点を強調するが、被告人は所論の方法により所得額を計算できる部分をも含めてすべての株式売買益の申告を怠ったものであるうえ、すでに縷説したとおり、被告人が本件株式売買による所得を申告しなかったのは、株式売買益については一般に課税対象となる所得が生じても申告する者が少ないこともあって、被告人においてもともとこれを申告する意思がなかったことによるものと認められるのであって、本件犯行の動機に関し、特に斟酌すべきものとは考えられない。また、株式売買による所得が雑所得にあたる本件のような場合、損益通算、繰越し、繰戻し等のいわゆる損失控除を税法上認める規定がないので、他の所得に対し課税される場合に比べると実質的に酷な事態が生ずるおそれがないではないが、本件においては、各年中の個々の取引中においては損失を被った事実が認められるものの、被告人が株式売買による所得だけで株式約一九億円、土地建物等四か所、ゴルフ会員権五口、国債一、五〇〇万円、絵画六億七、八〇〇万円(購入価格)という巨額の財を蓄積し、本件修正申告による納税に際しても株式の一部を売却するだけで賄えた程であること等を考えると、量刑にあたり実質的に考慮すべき損失があったものとは認められない。さらに、株式売買による所得のうち、投機を目的としない長期間保有せられたいわゆる資産株の売買による所得については、従来非課税とされていたことでもあり、専ら投機を目的とする継続的売買による所得をほ脱した場合と比べて量刑上考慮すべきであるという考えもあり得るところであるが、被告人がいわゆる資産株の取得を開始したのは、資産株の譲渡益が課税対象とされたのちのことであるうえ、本件では右のような資産株の取引により生じたものと認められる所得が全体からみてかなりの割合を占めるものとは認め難いので、特に量刑上被告人に有利な情状として考慮すべきものとは考えられない。また、本件ほ脱所得のうち約一五パーセントを占める配当所得をほ脱した動機についても、前記のとおり、被告人が源泉徴収分以上に税金を支払うのを嫌忌したことにあって酌量の余地がなく、その他このほ脱の態様等をみても情状において被告人に有利なものは見当たらない。

しかしながら、他方において、被告人は、本件犯行を捜査段階から素直に認め、当公判廷においても再び犯行に及ばないことを誓約するとともに、今後株式の取引から手を引く旨供述し、さらに本件につき修正申告をしたうえ国税につき納付を了し、地方税についても近く納付することを約束しているなど改悛の情を顕著に示していること、また本件で新聞等により報道され 勤務先を退職するのやむなきに至るなどすでに相応の社会的制裁を受けているものと認められること、その後新たな会社に就職が決定したが、その代表者が当公判廷に出頭し被告人の今後の指導方を誓約しており、再犯のおそれも少ないものと認められること、被告人には前科前歴がないこと、その他被告人の家庭の状況等被告人に有利な事情も認められるので、これらの情状をも総合考慮し、特に懲役刑についてはその執行を猶予することとして、主文のとおり刑を量定した。

(求刑 懲役二年及び罰金七、〇〇〇万円)

よって、主文のとおり判決する。

出席検察官 神宮寿雄

弁護人 宮本彦仙(主任)・山浦重三

(裁判長裁判官 小泉祐康 裁判官 羽渕清司 裁判官 園部秀穂)

別紙(一) 修正損益計算書

成川實

自 昭和53年1月1日

至 昭和53年12月31日

〈省略〉

別紙(二) 修正損益計算書

成川實

自 昭和54年1月1日

至 昭和54年12月31日

〈省略〉

別紙(三) 修正損益計算書

成川實

自 昭和55年1月1日

至 昭和55年12月31日

〈省略〉

別紙(四) 税額計算書

成川實

〈省略〉

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